令和の家督相続(その2)

上の画像は最近知った、自宅近くのパン屋さんのアンパン。
正当派のお味。
アンパン以外にも魅力的なメニューがあるのでおいおいご紹介。
まさに灯台下暗し。
地元最高!

えー、以下は余談です(笑)

※前回記事はこちらから

現代日本では「家」制度はなくなり、長男が家の財産をすべて承継するという「家督相続」というのもなくなりました。

ちなみに民法の相続法には次のように定められています。

民法896条第1項
相続人は、相続開始の時から、被相続人の財産に属した一切の権利義務を承継する。
ただし、被相続人の一身に専属したものは、この限りでない。

特に遺言を定めていなければ、相続人が権利義務、プラスの財産もマイナスの財産(要するに借金)も引き継ぐことになり、遺産分割協議で具体的に誰がどの財産をもらうか、というのを決めます。

で、生前に遺言で自分の財産の承継先を決めることができますが、そこに立ちはだかるのが「遺留分」の規定。
仮に父親が全財産を長男に相続させる、という遺言を書いても、他の相続人(配偶者や他の兄弟)は遺留分として総相続財産の2分の1の権利を主張できる。

令和の世では家督相続は無理なのか?
ここで出てくるのが「信託」です。

自分の財産をすべて信託財産にします。
やり方は自己信託なり信託契約なりいろいろなやり方がありますが、ここでは割愛。

信託財産の大きな特徴は
財産の「名義」と実際の「権利」が分けられること。
後者のことを「受益権」と言います。

自分の財産を信託財産にした父親は当初は自分がこの「受益権」を持ちますが、自分が死んだあとの受益権者を長男にします。

こう書けば、遺言同様自分の受益権を長男に引き継ぐことになって、結局相続と変わらないのでは?と思われるかも知れませんが、実は違います。

信託法には以下のように規定されています。

信託法91条第1項
受益者の死亡により、当該受益者の有する受益権が消滅し、他の者が新たな受益権を取得する旨の定め(受益者の死亡により順次他の者が受益権を取得する旨の定めを含む。)のある信託は、当該信託がされた時から三十年を経過した時以後に現に存する受益者が当該定めにより受益権を取得した場合であって当該受益者が死亡するまで又は当該受益権が消滅するまでの間、その効力を有する。

この信託法91条は、信託法での超重要条文の一つです。

信託の受益権は次の受益者に引き継がれるのではないのです。
受益者の死亡によって、受益者の受益権が消滅して、次の受益者の受益権は「新たに」発生するのです。

次の受益者の受益権は前の受益者から相続したものではなく、受益者の独自財産です。
例えるならば、生命保険の死亡保険金。
これも、亡くなった人(被保険者)から引き継いだのではなく、保険「契約」によって、受取人の権利となったものですね。

※参考記事

また、かっこ書きの部分は、受益者連続の規定です。
遺言とは違って、受益者を何代でも先に指定できるので、父→子→孫の順番で受益権が移る(厳密には消滅と発生)ことも最初の信託行為で決めておくことも可能ですね。

そんなわけで、相続と受益権の移転の違いについて説明しました。
で、肝心の遺留分はどうなの?払わなくていいの?というお話は次回に。

今回は難しかったかも知れませんが、財産の信託を検討されている方など、以下相談会でも分かりやすくご説明いたします。是非ご応募ください。

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