実家の信託と生前贈与
皆様、新年あけましておめでとうございます。
本年もどうぞよろしくお願いいたします。
私は美味しいおせちやお雑煮を頂き、そしてあん活しました。
美味しいあんこや他のお料理が頂けて本当に良いお正月を過ごさせていただき、本当に感謝ですね。
さて、お正月にご両親とお会いする方も多いと思いますが、せっかくの良い機会なので、親御さんの財産のことなど(誰にどのように引き継ぐのか)を話し合ってみてはいかがでしょうか。
「信託という制度があって、お父さん(お母さん)の財産を私に託してくれれば、財産は私の名義になるけど、お父さん(お母さん)のものであることに変わりなくて、将来お父さん(お母さん)が認知症になっても不動産を売ったりリフォームできるし、銀行の預金が凍結されることもないし、お父さん(お母さん)がやりたい人に財産を遺すことができるんだよ」とかなんとか。
で、具体的にどうするのかは正月明け少し経ってからの以下相談会にお申込みいただければご提案させていただきます♪
信託でよくあるのが、ご実家の不動産の信託。
親名義の不動産を子に信託すれば、登記上の名義(受託者)は子になりますが、実質的な所有者(受益者)は親だということも併せて登記されて、第三者からも不動産が信託されたものになります。
こうすることによって将来親が認知症になっても子の権限で実家を処分することもできるし、実家を売却して得た金銭が今度は信託財産となり子が親のために管理することになります。そして、親がなくなれば、実家の実質的な権利は親が指定していた人になる、という仕組みです。
遺言と違って、契約したその時から効力が生じ(遺言は親が亡くなってから)、
後見と違って、財産を特定でき、なおかつ第三者の関与もありません(後見は全財産で、裁判所が選任した司法書士や弁護士などの専門家が管理することになることが一般的です)
で、実家の信託とちょっと似ているのが、実家の生前贈与(以下、この記事では単に「贈与」と表現します)です。
単に贈与によって所有権を親から子に移す。
財産は子のものになるので、親が認知症になっても関係なく処分できるのは信託と同じ。
贈与だと贈与税が通常発生するけど「相続時精算課税制度」というのを遣えば、税金の支払いを親に相続が発生して相続税の申告の時まで待ってもらえる。
もしも実家を含めた親の相続財産が非課税枠内であれば税金の支払いは発生しない。
だったら贈与でいいじゃない。
信託はなんかややこしそうだし、とか思ってしまう人もいるかも知れない。
確かに、贈与は信託に比べると分かりやすい。
信託のようにずっと続くわけではないし。
でも、登録免許税(登記名義変更の場合に法務局に収める税金)が贈与は信託の5倍ぐらい。
それを踏まえると、弊所の概算だと実家の贈与が実家の信託に比べてめちゃくちゃ安いというわけでもない。信託がちょっと割高になるかも知れないけど、弊所の場合は信託終了までほぼ最初の費用だけでずっとサポートします。
あとは贈与の場合は不動産取得税もかかってくるけど、信託の場合は実質的な所有者は親のままなので不動産取得税は発生しない。(課税は原則実質主義)
また、親が施設に入って不動産を売却した場合を考えると、子が所有者かつ別居の場合だと譲渡所得税のマイホーム控除(売却代金が3,000万円以内だと課税されない)が使えない。
そもそも、贈与は親が財産を手放すことになってしまうので、実家を贈与したら親は自分の所有じゃない家に住んでいることになる。
まあ、受贈者である子と実家について使用貸借契約(タダで済ませてもらえる契約)を交わせばよいのかもしれないが、もし親より先に子に何かあった場合、実家の権利が子の妻や子に相続されてしまうのは、どうなのかなと思う人も少なくないのではないでしょうか。
もちろん信託だと実質的な所有者は親に変わりないですからね。
とはいっても、贈与はやっぱり「わかりやすい」。
税金などお金かかってもいいから、分かりやすくしたい人や、相続税対策で先に財産処分しておきたい場合であれば贈与も有効。
結局大切なのは財産持っているご本人がどうしたいか、なのです。
そこを対話によって引き出すのが信託をはじめとする財産承継対策(遺言、贈与、任意後見も含めて)のキモなのではないかと考えます。
だからこそやりがいを感じます。
財産承継については決まり切った答えがありませんので、迷ったのであれば是非上記相談室などでお氣軽にご相談ください。