遺言の3要素
以前、遺言書の必要性について書かせていただきました↓
では、具体的にどう書けば良いのか、というお話をしてみたいと思います。
民法にはこのように規定されています。
第968条
第1項 自筆証書によって遺言をするには、遺言者が、その全文、日付及び氏名を自書し、これに印を押さなければならない。
この条文で大切なの箇所を赤字で示しました。
①日付 「2月吉日」などではなく、「令和4年2月15日」と具体的な日付を書きます。
②自書 自分で手書きしないといけません。パソコンやスマホで入力して印刷したものではダメです。(ただし例外があります。)
③印 自分の名前を書いてハンコを押します。ハンコはお認印で大丈夫です。
日付、手書き、そして署名捺印。以上が遺言の3要素です。
これさえ守れば遺言は書けます。
一例を挙げると
「私の全財産を妻甲野花子に相続させる。令和〇年〇月〇日 甲野太郎㊞」
これで完成です。
何年か後、甲野太郎氏が逝去後、奥さんの花子さんがこれを見つけ出して、家庭裁判所の検認手続(公的に遺言として認めてもらうための手続)を済ませば、公的に遺言としての効力が生じます。
でも、花子さんがこれを読んで太郎さんの遺影の前でこう叫ぶかも知れません。
「アンタ、全財産って書いてるけど、一体どれとどれとどれなん!」
そうですね。具体的に特定してもらえないと、もらった人も困りますよね。
ですので、遺言書の中で具体的に書いてほしいところですよね。
ここで、一つ問題がございます。
遺言は自書しないといけないと書きました。全部の財産をいちいち手書きにしないといけないのか。
だとすれば、心折れて「やーめた!」になりかねません。
ここで、先ほどの条文の続きです。
第968条
第2項 前項の規定にかかわらず、自筆証書にこれと一体のものとして相続財産(第997第1項に規定する場合における同項に規定する権利を含む。)の全部又は一部の目録を添付する場合には、その目録については、自書することを要しない。この場合において、遺言者は、その目録の毎葉(自書によらない記載がその両面にある場合にあっては、その両面)に署名し、印を押さなければならない。
ちょっと堅苦しい文章ですが、かいつまんで言えば、明細部分はコピーで良いということです。
一例を挙げると、不動産の場合は、法務局で取得できる登記事項証明書やインターネットでダウンロードできる登記情報、銀行預金だったら預金通帳のコピーです(ネットバンクなら画面のハードコピー)。
これらの余白部分にも署名してハンコ押せばオッケーです。
実は、他にも考えないといけない細かい部分もあるのですが、ひとまずこれで完成です。
細かい部分はまた別記事でご紹介します。
そんなわけで、ご自身の財産の整理・把握にもなりますので、一度遺言書を書いてみることもお勧めします。
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