成年後見もやってます
あんこをパンにつけて食べるか、そのまま食べるか、それが問題ですね。
弊所のメインは信託業務ですが、成年後見業務も積極的に行っております。
私自身がやり出したのは実は令和に入ってからなのですが。
きっかけは信託でした。
信託に詳しい先生から後見業務も実際に経験しておいた方が、後見と比較した場合の信託の良さを伝えることができるから、というお言葉をいただいたからです。
信託、特に認知症対策の意味合いが強い家族信託を説明する上では常に比較される制度。
確かに財産管理という観点からは使いづらい面があります。
ご本人の財産の保護(現状維持)に重きを置いている反面、柔軟性に欠ける側面があるのは致し方ありません。
信託は対象が財産であるのに対し、後見は対象が人そのものという根本的な違いがあります。
例えば信託においては受託者は託された財産について権限を行使し(例えば自宅不動産の売却)、受託者が委託者や受益者の代わりに施設の入所契約を締結したり、ということはありません。
ややこしい話ですが、同じ人がある人の信託の受託者でありかつ(任意)後見人であったならば、その人が信託不動産の売却と施設関係の契約締結を行うこともありますが、あくまで前者は「受託者」として、後者は「後見人」として行う、という話です。
今後はおひとりさまが増えてきて、なおかつ80代以上の2人に1人が認知症になるという時代ですから、成年後見という制度が必要とされていることは間違いありません。
成年後見の仕事は対象者(被後見人など)の数だけ答えがあると言われています。
自分が直面している課題についてググったり、専門書を見ても、結論が出なかったりします。
その場合はどうするか。
詳しい同業者の方に聞いたり、あるいは事件を管轄している家庭裁判所に「この方針でやって行こうと思うので、不都合あればご指摘ください」とお伺いを立てたりします。
まあ、先生の判断でしてください、と言われることが多いです。
信託と後見の違いについてまとめると、
違うところは、対象の違い(財産か、人か)であり、似ているところは、事例の数だけ答えがあるというところでしょうか。
まるでけもの道を行くようなものですね。
従来の司法書士による登記申請や行政書士による許認可申請などは決まったゴールがありますが、信託や後見などこれからの業務は、そうではなく、事案ごとに答えを自ら作っていくようなイメージがあります。
法律などの知識ではなく、「人間力」が必要とされるというか。
まあ、それが醍醐味ではありますね。