分けるといいことあるぞ(その1)
アンパンが1個だけ、でも食べたい人が2人。
どうするか?
もちろん、殴り合い半分こですよね。
半分こすることで、食べる歓びと、美味しいものをシェアする歓びで、
1人で食べる時よりも歓びが2倍になります。
アンパンの量は変わってないのに、不思議なものです。
そう考えれば、豊かさは物質ではなく、心で作られるのかも知れませんね。
ちなみに冒頭の白いポン・テ・リング(白あん)は、分けようとしたのではなく、撮影前に先走ってかじってしまったものです(笑)
さて、信託については、特定の財産について、
委託者(財産を任す人)と受託者(財産を任される人)がお約束(契約)をすることによって財産の所有者を「名目上の所有者(受託者)」と「実質上の受託者(受益者)」に分けます。
信託については、「委託者」「受託者」「受益者」がメインの登場人物ですが、当初は委託者と受益者は同一人にすることが一般的です。
要するに「任せる人」と「任される人」がいて、前者が実質上の所有者で後者が名目上の所有者。
そして前者はあくまで後者のために財産を管理します。
ちょっとややこしくなったので、「あんこ信託契約」で考えます。
委託者兼受益者がX氏、受託者がT氏です。
X氏は「究極のあんこスイーツを食べたい」という目的で、T氏に金銭を信託します。
この金銭はあくまであんこのため。
T氏はX氏のために2時間近くおはぎの行列に並んだり、
日本全国津々浦々、究極のあんこスイーツを追求します。
あんこを調達するための交通宿泊費も、信託された金銭から支弁できるとされています。
もし将来X氏が判断能力を失い、成年後見の審判が開始したとしても、信託財産は成年後見人の監督の対象外となり、変わらずT氏はX氏のためにあんこスイーツを買い続けることができます。
ただ、悲しいかな、実務であんこを信託するケースは今のところあまりありませんので、いくつか典型例を挙げます。
・自宅不動産の場合(親が子に信託)
将来親が認知症等で判断能力を失ったとしても、子が自分の名で売却することができる。
・マンションなどの収益不動産の場合(同上)
子が自分の名でマンションの住人と賃貸借契約を結んで家賃の支払いを受けたりできる(家賃は親のもの)。
あるいは、大規模修繕も子が自分の名で業者に依頼することができる。
自宅と場合と同様、親の判断能力喪失の影響を受けない。
・会社の株式の場合(社長たる親が後継者候補の子に信託)
株式信託によって、株主総会で株主としての権利を行使する権限は子が持つことになるが、株式の利益の配当は変わらずに親が享受する。
また、最初子が経営に慣れないうちは親に株式の権利行使について「指図権(要するに口を出す権利)」をつけることも可能。
こうすることで、段階的な跡継ぎの育成が可能となる。
何より、親が判断能力を失ったとしても、議決権は息子が行使するので、会社の機能が止まることはない。
ということで、分けることの効果はアンパン以上となります(笑)
以上挙げたのは、どちらか言えば認知症対策の一面がありますが、分けることのメリットは他にもございます。
今回は長くなりましたので、別記事に譲りたいと思います。