信託はお金持ちのため?(その2)
今日のランチに食べたあん食パンです。
あんこパワーで昼からの信託のウェビナーを乗り切りました!
過去のブログを読み返していたら、同じタイトルの記事を前に書いていたので、その2としました。
過去記事はこちらです。
同業者の方(司法書士や行政書士)とお話ししていて「信託やってますか?」とよく聞いたりします。
で、よく言われるのが「信託はお金持ちが対象でしょう」ということ。
なので、全身ブランド物で固めて、お金持ちが集まりそうなところに潜りこむ、というのが受任につながる一つの方法かも知れませんが(笑)
個人的に、お金持ちでなくても需要はあると思います。
それは、以下のような信託独自の特徴があるからです。
1.第三者が関与しない
認知症対策として、実家を信託するケースを考えましょう。
法定後見であれば家裁の許可がないと売却できませんが、任意後見の場合は任意代理人になる人に実家の売却権限を付与することもできます。
でも任意後見であっても、発効した場合は「任意後見監督人」の監督下に置かれます。
成年後見の場合はそもそも親族が後見人になれるとは限りませんし、なれたとしても「後見監督人」が付くことがあります。
第三者(司法書士などの専門家)の後見人や監督人に対しては毎月の報酬が発生します。
認知症の場合でも肉体的に健康であれば、長生きすることもありますが、その間ずっと報酬が発生します。
信託の場合であれば、初期費用は良い値段えすが、ランニングコストはほとんど発生しませんので、長い目で見ると信託の方が低コストになります。
2.「争続」の回避
相続人となる子の兄弟姉妹仲がもともと悪く、遺産分割協議が紛糾する可能性が極めて高い場合も信託が有効です。
だったら遺言書いてもらえばいいのではないか?という話かも知れませんが、遺言にもリスクがあります。
一つは書き直せる、ということ。
子が親に自分の思い通りの遺言を書かせた(専門家的にはツッコミどころなのですが)けど、後日別の子が別の内容の遺言を書かせた、というケースも考えられます。
この場合、後の遺言の方が有効となります。
前者が公正証書遺言で後者が自筆証書遺言でも同じです。
遺言の形式で遺言の優劣は決まりません。
もう一つ、遺言だと遺留分の問題があります。
親が子の一人に全財産を相続させるという遺言があっても遺留分を請求されてしまいます。
信託だとどうなるか。
親が自分の財産を信託財産にしてその財産の受益権を自分が死んだら特定の子に承継されるような内容とします。
自己信託ももちろんできますが、親を委託者兼当初受益者、子を受託者及び二次受益者とした場合は、委託者たる親と受託者たる子との間の契約であり、信託の終了も信託法の規定か信託契約での取り決めに従うので、他の子が関与する余地はありません。
そして、信託財産は民法上の財産でなく、「信託法上の財産」となるので、民法の規定である遺留分の対象外となります。
(ただ、これは判例などが出ていませんので、不確定な部分があるのですが…)
以前にも
そもそも、今の民法の形が出来たのは先後すぐの80年近く前の話。
相続の規定なども当時の家族制度がベースになっていますので、今の家族の在り方とは合わない面が出てきており、民法の制度だけでは理想通りの財産承継が難しくなってくるという事情があります。
参考記事↓
そんなわけで、信託はもっともっと広まっても良いかと考えますが、それは我々専門家の職責ですね。