信託と後見
今日は某会合の後、サバ活でした。
信託(特に家族信託)は認知症対策になると言われています。
認知症になる前に財産を信託しておけば、託された人(受託者)の名前で財産を処分できるからです。
ところが、信託はあくまで「財産」についての契約です。
たとえ金銭を託されても、委託者の代わりに受託者が施設の入所契約を代わりに締結することはできません。
このような場合に備えるならば、将来自分の面倒を見てくれる人と任意後見契約を締結しておく必要があります。
任意後見は法定後見(成年後見、保佐、補助)とは違い、本人が判断能力のあるうちに、将来自分が判断能力を喪失した場合に備えて、自分の後見人になってほしい人と契約を交わすのです。(契約は公正証書で行います)
信託が「財産」についての契約であるのに対し、後見は「人」についての契約です。
目的が違うので併用されることもあります。
もちろん信託契約の受託者と(将来の任意後見人)が同一人でも問題ありません。
あるいは、信託財産があまりなく(金銭と自宅不動産)、法定相続でも何ら問題なければ、任意後見契約だけでもできなくはないですね。
というのは、任意後見人に自宅不動産の処分権限を特別に与えることも可能であるからです。
ただ、任意後見の場合、実際に発効すれば裁判所で選任された「任意後見監督人」の監督を受けることになります。
一応、信託の場合も「信託監督人」を設置することができますが、設置は任意であるし、どちらか言えば信託が契約書通りに運用されているかを「見守る」という意味合いが強いです。
第三者の関与に抵抗があるならば信託の方が良いですね。
まあ、信託か後見か、はたまたあるいは両方か、というのはご本人の財産や身上によって結論が変わってきます。
画一的答えがない世界ですが、携わる側としても腕の見せ所ですね。