人は救えるのか?
数年前、知り合いの弁護士さんとお話ししていて、こんな話をお聞かせいただきました。
離婚の事件で、依頼者の相手方(すなわち配偶者)から直接電話があって「あなた弁護士でしょ、なんであんな人の味方するの!」と抗議されたとか…
弁護士は「正義の味方」というイメージを持ってらっしゃる方が多いのかもしれませんが、正しくは「依頼者の味方」です。
依頼者の正義のためにお仕事されます。
確かに「法律を武器にして、弱い立場の人を救うんだ!」という志で法律家を目指す人は多いのかも知れません。
イメージ的には
・ひどい配偶者から慰謝料沢山取ってやる!
・暴利を貪る貸金業者から過払い金沢山取ってやる!
・交通事故の保険金をケチろうとする保険会社から適切な保険料を払ってもらう!
・依頼者は冤罪だ。無罪を勝ち取ってやる!
等でしょうか。
前回記事でご紹介した大平弁護士もそうかも知れませんが、法律家を目指す人の一定割合はご自身も何かしらの試練を味わってきたことが目指す動機なのかも知れませんし、むしろそういった人の方が適正が高いのかも知れません。
まあ、私は少し違いますが。
なぜ今の仕事を目指したかは、またお話したいと思います。
確かに、法律って難しいですし、法務局や裁判所、あるいは官公庁に提出する書類の作成はややこしいし、慣れない人がやると大変時間がかかります。確かに今はネット検索すればいくらでも方法が出てきますけど。
だからこそ、私達の存在意義があります。
でも、自らの専門性を持って、依頼者のお役に立つことができても、究極のところ依頼者を「救う」ことはできない、いや救ってはいけないとと私は考えています。
私の失敗談を白状します。
独立する前の勤務司法書士だった頃の話です。
債務整理のご相談に来られた方がいました。
負債額、借入先あるいは現在の収入などなど色々お話を伺ったところ、自己破産しかないという結論をお伝えしましたが、それはイヤだとのことでした。
理由を尋ねたところ、ご自身の境遇についていろいろ語りだしました(さすがにプライベートなことなので書けません)。
とはいえ、自己破産の選択肢しかないのは確かです(知り合いの司法書士や弁護士何人かに相談しても同じ結論でした)ので、それしかないといったところ、今度は私の執務姿勢に対する不満を述べてきました。
それで、結局辞任しました。
正直、後味悪かったです。
炎上覚悟で言いますね。
その元依頼者さん、私から言わせれば「幸せになりたくない人」で、もっと言えば、現世は「不幸な人生を楽しみに来た人」だったのかも知れません。
だから借金や他のことをリセットすると幸せにならざるを得なくなりますから、本人的には都合が悪いのです。
もし、ご本人が本氣で人生をやり直して幸せになりたいのであれば、そのために私は専門家として債権者と連絡取ったり、裁判所に提出するややこしい書類を作ったりは当然させていただくことができましたが、ご本人にその意思がなければ私は単なるいらんことしいです。
自らの専門性を持って人を助けることができても、人を救うことはできません。
いや「救う」なんておこがましいです。
そもそも、私達が地球に何しに来たかと言えば
「幸せな人生を送るため」です。
傍目には不幸な人生でも、何度も生まれ変わって(地球に来ている)うちに「いつも幸せな人生はおもろないから、たまにはハードモードで行こう」と魂が決めてきたのかも知れません。
だから、そもそもどんな人にも「自ら幸せになる力」は備わっているので、わざわざ救う必要もないのです。
例えるなら、あなたが何かのテレビゲームをしていたとします。スーパーマリオブラザーズなどのアクション系をイメージすれば分かりやすいかと思います。
当然最初はすぐにゲームオーバーします。
それでもあなたは悪戦苦闘しつつも、すぐには死ななくなりましたし、その中でも面白味も出てきました。
そこで、お友達が「へたくそだな、こうやるんだよ」とか言って、あなたからコントローラーを奪って、さくさくプレイしてゲームをクリアしてしまったら、どう思われますか?
めちゃくちゃムカつきますよね(笑)
邪魔するな!って言いたいですよね。
要するに、この地球での人生も一種の「ゲーム」です。
ゲームだと考えていると、たとえ今苦労していることがあっても、楽しくなってくると思います。
それに、そもそも楽しみに来たのだから、デフォルトは幸せが約束されているから大丈夫です。
その中で、自分が心からやりたいこと(あるいはそのためにやらないといけないこと)以外で、たとえば法律など難しいことや面倒くさいことがあれば、得意な人にお任せすれば良いのです。
そして、ご自身が得意な事、好きな事について、苦手な人がいれば代わりにしてあげる。
こうして「循環」が起こるのです。
これがこの世の仕組みです。
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