相続と保険
相続が発生して、遺産分割協議を行うにあたり、その対象となる相続財産の把握が必要となります。
不動産、預貯金は良いとして、では保険金はどうなるのか?
というのが少し悩ましい問題があります。
保険金と言っても、入院給付金と死亡保険金によって取り扱いが違ったりとややこしいです。
あまり突き詰めると、本当に複雑(相続全般に言えることですが)ですので、考え方だけご紹介したいと思います。
【事例】
入院加療中にご逝去された被相続人A氏
相続人は妻B氏、長男C氏、長女D氏
A氏は生前に医療保険と生命保険を契約していた。
医療保険(入院給付金)の受取人はA氏ご自身で、生命保険(死亡保険金)の受取人は長男C氏。
ここでポイントとなるのは「受取人」です。
入院給付金はA氏ご自身なので、保険会社はA氏に支払います。
ですので、これはA氏の財産(相続財産)となり、遺産分割協議の対象となります。
一方、死亡保険金の受取人は長男C氏となっていますが、こちらはA氏と保険会社との保険契約に従って、保険会社から(A氏を介さず)直接C氏に支払われます。
ですので、こちらはA氏の相続財産ではなく、C氏の固有財産となり、遺産分割協議の対象とはなりません。
もし仮に、C氏がA氏の相続について家庭裁判所に相続放棄の申述をしていたとしても死亡保険金を受け取れます。
ただし、相続人が受け取る死亡保険金については、税法上は「みなし相続財産」となるので、相続税が賦課されます(非課税枠もありますが)
また、少しややこしい話をすると、C氏がもらえる保険金が、B氏やD氏は不公平に感じるぐらい、他の相続財産に比べて莫大だった場合は「特別受益」の対象となることがあります。
特別受益というのは、生前贈与などでいい思いをした相続人の相続分を減らすという民法の規定です。
実務上、認められることはレアなのですが。
ただ、死亡保険金が直接受取人に支払われるというスキームは相続対策などで良く活用されます。
また機会を見てご紹介したいと思います。
おおよその考え方は以上となりますが、死亡保険金については、指定した受取人が先に死亡していた場合、受取人が指定されていなかった場合、なぜか契約者(被相続人自身)が受取人になっていた場合などはややこしくなります。
相続財産になるのか、はたまたあるいは保険会社の約款に従うのか、明確な結論が出ておりません。
とりあえず、保険を契約してらっしゃる方は、受取人が誰になっていたかは今一度把握しておくことをお勧めします。
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