間一髪だった「危急時遺言(とその確認)」の実例

遺言といえば、一般的には

・公正証書遺言
・自筆証書遺言

この2つを思い浮かべる方が多いと思いますが、

最近私が良くやる遺言の手続きとして 「危急時遺言」 というのがあります。

法律専門職(司法書士、行政書士、弁護士)でもあまりする人はいないみたいですが、
私は昨年から今年にかけて、何件か危急時遺言の手続きを行いました。

今日、家庭裁判所から、
昨年末に申立てをしていた 危急時遺言が確認されたという審判書 が届きました。

待ちわびていたので、
思わずガッツポーズしました(笑)


危急時遺言とは、

死亡の危急に迫った人が、自分では文字を書けず、
また公正証書遺言の手続きでは間に合わない可能性が高い場合に、

証人3名以上(公正証書遺言は2名なので1名多い)の立会いのもとで口述し、
その内容を書き取ることで作成する遺言

です。


今回のケースは、施設に入所されている方でした。

実は 公正証書遺言を作成する予定で、翌週に公証人さんに施設へ出張いただく予定でした。

ところが、別件で面会した際に、
ご本人の体調が以前よりも急激に悪くなっており、

「それまで(公正証書遺言の手続き)待てない」

と言われました。

これはまずいなと思い、
その場で急遽 証人2名を手配して危急時遺言を実施しました。


具体的には、持参していたノートパソコンで遺言書を作成し、
ご本人の前で読み上げて了解を得ました。

念のため、スマートフォンで動画撮影の準備もしていました
(結果的には使用しませんでしたが)。

その後、遺言書をプリントアウトし、
私を含めた証人が署名・捺印しました。


翌日は 翌々日に家庭裁判所へ申立て

調査官には

「できれば今日にでも本人と面会してほしい」

とお願いしました。

すると、調査官もすぐに動いてくださり、
ご本人の遺言の意思を確認してくださいました。


危急時遺言は本人が自筆で書くものではないため、
その遺言が本当に本人の真意なのかを確認する

家庭裁判所の「確認」という手続き

が必要になります。

調査官は、提出された遺言が本人の真意によるものかを、
本人や証人、場合によっては主治医などから聴取して調査します。

ちなみに 医師の診断書も提出します。

本人の余命や当時の意思能力を担保するための重要な書類なので、
私も主治医の先生に事情を説明し、診断書の作成をお願いしました。


なお、危急時遺言を作成した後にご本人が亡くなってしまっても、
それだけで確認手続きができなくなるわけではありません。

ただし、その場合は
認められるハードルがかなり高くなります。

そのため、
一番良いのは 家庭裁判所の調査官に本人と直接面談してもらうことです。

だからこそ、
(大変ご多忙なのは承知のうえで)

調査官に 可及的速やかに本人と面談していただきたい
とお願いしたのでした。


今回、家庭裁判所の確認は得られましたが、
これとは別に

自筆証書遺言と同様、「検認」

の手続きも必要になります。

銀行などで実際の手続きに使えるようになるまでには、
あと 2~3か月程度 はかかると思います。

それでも

ご本人の想いを遺すことができた

という意味では、本当に良かったと思っています。


結果的に言えば、

かなり間一髪でした。

もう少し遅ければ、
遺言自体が出来なかった可能性もあります。


こういうケースを見るたびに思うのですが、

遺言というのは
元気なうちに準備しておくものです。

危急時遺言はあくまで
**「最後の手段」**です。


やはり基本は

遺言や親愛信託などの生前対策については、
元気なうちに準備しておくことがとても大切です。

「まだ早いかな」と思うくらいが、
実はちょうど良いタイミングかもしれません。

むしろ私はよく「生前対策で『早すぎる』ということは決してありません」と相談に来られた方に申し上げております。

危急時遺言のような状況になってしまうと、
手続きのハードルも高くなります。

遺言や親愛信託についてご相談のある方は、
初回相談も承っておりますのでお気軽にお問い合わせください。