成年後見人がつくとあんこが食べられない!?

※おことわり
先般、成年後見制度にかかる改正民法が公布されました(施行は約2年後)が、当記事は現行の成年後見制度を前提として書いているのでその点ご了承ください。
自宅の近所にシャトレーゼさんがありますが、初めて行ったときはここは天国かと思いました。
あんこいっぱい😻(いや他のスイーツも)
子供の頃絵本で見た「お菓子の家」にいる気分でした。
で、私が何らかの事情で判断能力を喪失し、成年後見人がついたとします。
ちゃんと財産信託しとけよ、という声が聴こえてきそうですが、
あくまで例え話として聞いて下さい。
果たして成年被後見人の登記がされた田村は独力でシャトレーゼであんこスイーツを買えるのか、という話です。
現行の民法の規定にはこうなっています。
民法第9条
成年被後見人の法律行為は、取り消すことができる。
ただし、日用品の購入その他日常生活に関する行為については、この限りでない。
あんこの購入が「日用品の購入その他日常生活に関する行為」に該当するならOKですが、成年後見人の判断にゆだねられるところです。
あんこ嫌いな成年後見人であればNOと言うかもしれません。
まさに成年後見人ガチャが重要となるわけです。
なので、やはり判断能力がしっかりしているうちに誰か信頼のおける人に受託者になってもらって、将来のあんこ購入資金を信託しておくことですね。
具体的には信託契約書に信託財産の使途を書いておくことです。
ですが、民事信託にはできないことがあります。
民事信託はあくまで財産についての制度です。
身上監護に関すること、例えば介護施設との契約や病院との手続き(入院手続き等)は成年後見人であれば当然できますが、民事信託の受託者という立場だけは難しいでしょう。
その他大きな違いとしては、
・民事信託は契約時に対象財産を特定する必要がありますが、成年後見は被後見人の財産すべてが対象となります。
・成年後見は家庭裁判所に申立を行い、開始した後も家裁への定期的な報告が必要となるなど、家庭裁判所の監督下にありますが、民事信託は信託監督人の設定は任意です。
・成年後見は本人が判断能力を喪失した後であるので、被後見人自身が成年後見人を選ぶということは事実上難しいですが民事信託は財産を託する人自身で決めることになります。
その他、違いを下の表にまとめましたのでご参考までに。
ざっくり言うと、信託は「先に段取りしておく制度」、後見は「今まさに困っている状態に対応する制度」です。
どちらが上という話ではなく、役割が違うのです。
成年後見と民事信託、どちらがいいか、あるいは併用か。
お悩みの方は弊所までお気軽にご相談ください!
| 項目 | 民事信託 | 成年後見 |
|---|---|---|
| 目的 | 財産管理、承継の仕組みをあらかじめ作っておく | 判断能力が不十分な人を法律的に支援する |
| 始める時期 | 本人が元気なうちに設計する | 判断能力が低下した後に利用されることが多い |
| 誰が管理する? | 受託者(家族など) | 成年後見人(家族もなれるが監督人がつくこともある) |
| 本人の意思の反映 | 元気なうちに内容を決めやすい | 本人の意思は尊重されるが、運用は後見人の判断も入る |
| できること | 信託した財産の管理・処分 | 財産管理に加え、必要な契約などの身上監護 |
| できないこと・弱いところ | 身上保護はできない | 柔軟な財産承継設計はしにくい |
| 向いている場面 | 将来に備えて財産管理のルールを決めたいとき | すでに判断能力の低下があり、支援が必要なとき |
| イメージ | 「先に仕組みを作る制度」 | 「今困っている人を支える制度」 |
